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2008年8月の記事

2008年8月25日 (月)

大和の「つくりもの」 5

  

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手作り感タップリの「ウルトラマン」立山 橿原市小房町 2008.8.24  撮影:今駒清則
  
  

2008年8月25日
 「つくりもの」は全国に普通に見られたものだったのですが、次第にすたれていって少なくなりました。
 大和では「立山」と言っていますが、いまはここに掲載した御所市東長柄の「天神祭」、橿原市八木町の「祇園祭」、広陵町三吉大垣内の「地蔵盆」だけになってしまったようです。

 地域の人々が今年の出し物の趣向を相談し、数日前から材料などを用意して当日の朝から組み立て、夕刻からの祭に公開するというように手間のかかるものですから、地域が昔ながらの共同体を保っている場合は何とか続けていける素地はありますが、高齢化している地域では実作業ができなくて断念せざるを得ないようです。
 また昔からの集落の周りに新しい住宅地ができ、それらと一体化されたためにコミュニティの人間関係が希薄となってできなくなっている場合もあるようです。それに「つくりもの」の持つ見せ物の要素が、現代の刺激性を求めて多様化したさまざまな見せ物に対して余りにも素朴なので関心を持ってもらえないことも大きな要因です。

 しかし実際に廻って見たところでは、少なくとも子どもたちには興味を持ってもらえているようです。これは婦人会がこころを込めて造った手作りのアニメキャラクターだから成功しているのですが、伝統的な趣向(神話や伝説、忠臣蔵や源平合戦など)や、時事風刺の「つくりもの」もぜひ伝えていって欲しいと思います。

 そこでこの「つくりもの」を伝え、復活していくためのボランティア活動の支援グループがあれば良いのになあと思いました。単純にイベントを請け負うのでなく、一定の大道具、小道具を用意しておいて地域の方々と趣向や施行を相談して造り上げる、そんな活動があれば地域活動の見直しや活性化にも役立つように思えます。

 

 

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2008年8月24日 (日)

大和の「つくりもの」 4  八木「愛宕祭」の「造り山」

  

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愛宕神社の屋形1 橿原市八木町 2008.8.23  撮影:今駒清則
  

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愛宕神社の屋形2 橿原市八木町 2008.8.23  撮影:今駒清則
  
  

2008年8月24日
 「つくりもの」の探訪です。橿原市の八木町付近で8月23日から25日の「愛宕祭」に「造り山」が出ます。
 「愛宕祭」は町内の防火、火伏せを願って京都・愛宕神社の「愛宕大神」を祀った屋形や祭壇を、この3日間だけ町内の通りに面して造ります。
 屋形を組み立てて屋外に出すもの(屋形1)と、家屋入口に青竹で鳥居を造り商店などの屋内に祭壇を造るもの(屋形2)に大別されますが、いずれも「愛宕大神」の掛軸にそれぞれ工夫をこらしたお供え物を飾ります。

 私が数えたところでは今年は旧町内(北八木町1~3、八木町2~3、南八木町2~3)で22ヶ所ありましたが多少の見落としはあるかもしれません。なお愛宕神社へは代表が祭の前に参拝して「火迺要慎」(ひのようじん)のお札をいただき、各戸に配られて火を使うところに貼られます。

  
  

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古い町並みと屋形 橿原市北八木町 2008.8.23  撮影:今駒清則
  
  

 平城京の朱雀大路から一直線に南下する古道「下ツ道」(中街道)がこの八木の町の真ん中を通り、また町の中央を東西に通る「横大路」(「竹内街道」の東方)が「札ノ辻」で交差する街道の町で、近世には伊勢参りでも賑わい今でも古い家並が軒を連ねています。

 「愛宕祭」の中心はその「札ノ辻」を中心とした旧町内で行われ、普段は静かな「下ツ道」の通りがこの祭の夜だけは注連縄を張り祭提灯を掲げた家並に屋形や露店が並び、また数ヶ所に「造り山」もあって大変な人出となります。

  
  

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「愛宕祭」の「造り山」 「ブレーメンの音楽隊」  橿原市北八木町 2008.8.24  撮影:今駒清則
  
  

 今年の「造り山」は4ヶ所に造られていました。旧町内の北の端にあるのは「ブレーメンの音楽隊」と西洋物です。

  
  

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「愛宕祭」の「造り山」 「ゲゲゲの鬼太郎」  橿原市八木町 2008.8.24  撮影:今駒清則
  
  

 伊勢参りの人々に振舞いをした「接待場」近くには「ゲゲゲの鬼太郎」の出し物。手作りのキャラクター物ですが良くできていて子どもたちを惹きつけていました。

  
  

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「愛宕祭」の「造り山」 「八岐大蛇」  橿原市南八木町 2008.8.24  撮影:今駒清則  

 

 JR畝傍駅東踏み切りの南の南八木町では「八岐大蛇」(やまたのおろち)の出し物。「つくりもの」では伝統的なもので、素盞嗚(スサノオ)が十束剣(とつかのつるぎ)を振り降ろしたり、大蛇の頭が動くなどこれもとても良くできています。ただし若い人たちにはこれが何のことなのか分らないようですし、中には大蛇を怖がって近寄って見られない子どももいました。

  
  

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「愛宕祭」の「造り山」 「ウルトラマン」  橿原市小房町 2008.8.24  撮影:今駒清則

 
  

 旧町内南端の晩成小学校の校庭には「ウルトラマン」。動きは無く手作り感たっぷりですが等身大の迫力です。以前は小学校で盆踊りをしていたようですが今年は無く、遊具や電動汽車の乗り物などに人気が集まっていました。

 

 

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大和の「つくりもの」 3  三吉大垣内の「立山祭」

  

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大垣内の「立山祭」 手書きのポスター 2008.8.24    撮影:今駒清則
  
  

2008年8月24日
 「つくりもの」探訪が続きます。

 8月24日の地蔵盆に広陵町三吉(みつよし)大垣内地区では地蔵堂を中心に「立山」と呼ばれる「つくりもの」が出ます。

  
  

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大垣内の「立山祭」 地蔵堂 2008.8.24  撮影:今駒清則
  
  

 この三吉付近は古墳が多く、なだらかな丘陵に古墳が続きます。三吉は北から斉音寺、赤部、大垣内の集落があり、大垣内地区は272所帯、人口804人(2008年7月現在)で比較的大きな集落です。その中央に見立山専光寺と呼ばれている地蔵堂があり、地蔵堂へ向かう坂道には夜店の露店が並び、夕刻になると近在からも地蔵堂へお参りする人々で賑わいます。

  
  

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大垣内の「立山祭」 地蔵堂へお参り 2008.8.24  撮影:今駒清則
  
  

 今年は4ヶ所に「立山」が造られました。地蔵堂にある旧公民館にも「立山」が造られています。地蔵盆の地蔵堂を準備することから「立山」の作製まで青年団の方々の奉仕によるものです。

 この行事は広陵町指定文化財に指定されていて、地蔵堂にあった説明板からその一部を転載いたします。

 「・・・公民館、近年新築した家、嫁取り、婿取りをした家などを会場として披露を兼ねて、その年の話題を担ってきた事件や有名となった人物を取り上げ、おもしろおかしく飾り付け、人々に話題を提供しようとするものである。・・・この行事の由緒は江戸時代に疫病がはやり、身代りとして立てた。また、中世「見立山武士」と呼ばれた土豪細井戸氏が元禄年間に武士の名残を偲んで武者人形を立てたのが始まりなどと語り伝えられている。・・・」

  
  

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大垣内の「立山祭」 Y氏宅玄関の立山 「星野仙一監督」 2008.8.24  撮影:今駒清則
  

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大垣内の「立山祭」 U氏宅玄関の立山 「北島康介選手」 2008.8.24  撮影:今駒清則
  
  

 お祝い事のあったお宅では大きな玄関に幕を掛け、マネキンを利用して話題の人物を飾っています。
 Y氏宅は北京オリンピック出場の「星野仙一監督」で、ユニフォームのストライプや、似せた顔は手作りの労作です。

 

 またU氏宅は水泳金メダリストの「北島康介選手」で、水着姿に金メダルをかけています。玄関の戸は開けてありますのでどなたでも自由に見られますが、玄関にスックと一体の水着人形が立っているのは実に不思議な光景でもあります。

  
  

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大垣内の「立山祭」 公民館の立山 「福田・木村総理大臣」 2008.8.24  撮影:今駒清則
  
  

 厳島神社北の新公民館入口には「福田康夫総理大臣」とSMAPの「木村拓哉総理大臣」が並び立っています。テレビドラマ「CHANGE」がテーマ。福田内閣の支持率が20%を切っている時にドラマの視聴率は23.8%だったとかの話題もあって風刺も込められているのでしょう。

  
  

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大垣内の「立山祭」 地蔵堂の立山 「篤姫」 2008.8.24  撮影:今駒清則
  
  

 地蔵堂はNHK大河ドラマの主人公「篤姫」の出し物、隣にいるのは将軍家定ということでしょうか。豪華な衣装は婚礼の貸衣装屋さんの協力によるもの。家定の家紋が「葵」でなかったのがチョッピリ気になりましたが。

 三吉の「立山」は人物だけのもので、今年は誰が主役になるのかな、というのが見ての楽しみですが、このスタイルが昔からそうだったかどうかはわかりません。しかしそれが今では特色のある「つくりもの」になっています。

 

 

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