大仙公園 堺市博物館
堺市の大仙公園(衛星写真地図)にある堺市博物館で開催している展覧会が明日終了してしまうので出かけました。大仙公園はご存知、日本最大の前方後円墳・大山古墳(大仙陵古墳、仁徳天皇陵)の南に造られた公園で、古墳や陪冢が点在し、そこに堺市博物館もあります。この大山古墳と堺市博物館の間には同時期に造られたといわれる帆立貝式の陪冢・孫大夫山古墳があり周濠も整備されて一周散策できます。
堺市博物館の西横にはどら池が造られて周囲を散策できます。
どら池にスイレンが咲いていました。立ち葉が猛暑続きの今、ちょうど差しかけている傘のようになっていたのが面白いですね。
堺市博物館では「ムラを守る~考古学から見た激動の南北朝期~」をゆっくり見ました。南北朝期の南河内、和泉地域にある国人の居館を発掘した成果を展覧したもので、「新金岡更池遺跡」「長曾根遺跡」「誕生地遺跡」「陶器遺跡」「余部遺跡」「天野山金剛寺遺跡」などです。今回の展覧では環濠集落、城郭にまで範囲を広げずに、その中心となる有力者の居館だけに絞っていて興味深いものでした。
展示は出土品、発掘現場の航空写真、遺構概念図、解説と通例の考古展示でしたが、展示出土品があまりにも土器に偏っていたことでほかの生活用具などが少なく、時代を生きた人間の息吹が得られなかったこと、遺跡の状況理解に航空写真と遺構概念図を比較しながら(それも写真と図とが逆さまになっていたりして)考えながら想像しなければならないことで、こういった内容をそれだけで展示する意図がどこにあるのか実に分りにくいものでした。
これではサッと見ただけでは理解できず、実際私が見ている間も足を止めた見学者はほとんどいませんでした。どうも深く知りたい人はどうぞ発掘報告書を見て下さい、というようなスタンスではなかったかと思えます。せめて濠をめぐらした居館の復元模型(ジオラマ)とか、復元画があれば一目見て子どもにも分ると思うのですが。現在のCGは制作が簡単になっていて、オブジェクト・パーツ(建物とか木柵とか)さえ揃えておけば発掘の実測図があるので、それで推定でも良いから復元の概念画を作るとか、予算が無ければ絵の好きな市民への協力を呼びかけて描いて頂くとかできるのではないかと思います。一般に考古関係では、発掘と整理、報告書に多くの労力を割いているのに「展示」に関する意識が希薄で、ここもその例に漏れないようです。
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