飛騨高山まちの博物館
高山の「飛騨高山まちの博物館」へ出かけました。昨日は春祭りでこの前の上一之町の通りには屋台が並んでいて観光客が一杯でしたが今日は静まり返っています。
この「飛騨高山まちの博物館」は以前「歴史民俗資料館高山市郷土館」で、時々立寄っていましたがリニューアルされてこの11日に開館したばかりです。
旧「高山市郷土館」は上一之町の酒造業・永田家の蔵を利用した博物館でしたが、隣接する矢嶋家(近江出身の木材や塩の御用商人で町年寄)が屋敷を手放したため、そこへ郷土館を拡張して「飛騨高山まちの博物館」として開館したものです。
施設、展示内容は同博物館ホームページをご覧いただいて、開館の特別展は「高山祭新発見!祭にかける技と心」として高山の屋台蔵に保存されていた屋台の資料展示をしています。以前より展示面積が大幅に増えたため常設展示品も増加していますが、全体的に旧高山町内を中心とした近世資料で占められており、高山を概観するには好適ですが、時代の幅と広い市域を生かした飛騨の歴史風土の展示があるとさらに良いので、今後の特別展にそれらを期待しましょう。また資料閲覧室が設けられていて同館所蔵資料がゆっくり閲覧できますので調査研究にはありがたいことです。なお同館は入場無料で夜まで開館しているので利用しやすいのですが、観光客が多いためか博物館としての認識が薄いようで、たまたまかもしれませんが館内を子どもが走り回ったり大声で話しあったりしていて、その辺りは何らかの対策をお願いしたいものです。
同館の裏手には空町(そらまち)との境になる高い石垣が並んでいてここでも高山の歴史に触れることができます。空町とは高山城が存在した金森時代に武士が居住した高台の地域のことですが町名ではありません。宮川沿いの低地へ造られた町人町(三町)から武家町を見ると高いところになるのでそう呼んだのでしょう。城の縄張の名残でもあるため高山の歴史を考える上でももっと注目されても良い遺跡でもあります。
空町の石垣の上には後世に永田家の炭蔵と箪笥蔵を設けられたので石垣を改造してそこへ登るための石段がついています。この辺りの石垣は旧状を良く残していると思われますが、この度の博物館改修時に小公園へ出入りするため一部改修改造されています。
また石垣の下には防火用と思われる水掘があり、ちょうどミズバショウが咲いていました。ここから南への門があり、出ると空町から下ってくるえび坂になります。かっては曲がりくねった坂でしたが1818(文政元)年に真っ直ぐの坂に改修したのでかなりの急坂です。その坂下で博物館の門の向かい側には牢屋の一つがあったのですが今は何の痕跡もありません。
館内は永田家、矢嶋家の江戸から明治の蔵を建並べて展示館として利用しています。写真は裏手からの全景で、左が空町と石垣、中央は矢嶋家塩蔵や矢嶋家西蔵、右が矢嶋家北蔵です。遠くには城山が見えます。
昨年の夏にここを訪れた時は改修中で、蔵を曳屋し移動させていました。前のパノラマ写真の中央部と比較していただくとその前身の姿がよくわかることでしょう。 (2011.4.27 一部写真と記事を追加しました。)
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