繰返された学童の悲劇 (3) 慰霊の碑
2011.8.20 撮影:今駒清則
室戸台風(関西大風水害)から77年目の日です。台風の被害で堺市内では300人を超える犠牲者がありました。三宝小学校を始めとして市内の各小学校では風速60mを超えたという暴風により、木造校舎が倒壊して学童にも多大な犠牲者がでました。これを悼んで慰霊の碑が各所に建てられています。これは土佐十一烈士の墓所で知られる宝珠院(衛星写真地図)の「風水害殉職訓導遭難学童霊魂碑」です。
2011.8.20 撮影:今駒清則
その碑には三宝小学校を始めとして市内各小学校の被災学童と訓導の名前が刻まれています。先頭にあるのは三宝小学校で避難誘導にあたっていて殉職した栗山優訓導です。栗山訓導は学童の最後尾で学童を励まし続け、ついに学童と共に高潮にさらわれたとのことです。
ここに記されているのは、三宝小学校で高潮により54名の学童と1名の訓導が、錦小学校では校舎倒壊の下敷きになって39名の学童と1名の訓導、湊小学校でも校舎倒壊で14名の学童が、その他にも校舎倒壊で少林寺小学校で3名、南旅篭小学校(後に英彰小学校に合併)が2名、錦西小学校で1名、同高等小学校で1名、錦綾小学校で1名と学童116名、訓導2名の犠牲者名があります。
校舎が倒壊して多数の死傷者があった錦小学校の西隣りにある経王寺の境内墓地には、錦小学校の学童と訓導を慰霊する供養塔があります。三周忌にあたって建てられたもので、背後には今の錦小学校の校舎が見えます。
供養塔には亡くなった高塚武訓導を中心にして学童たちの俗名が刻まれ、裏面には錦小学校で死者40名、負傷者200余名もあった罹災状況と、その霊を祀るために建立された旨が記されています。また今でも9月21日には錦小学校の学童や学区の人たちがお参りされておられるとのことです。
2011.8.20 撮影:今駒清則
2011.8.20 撮影:今駒清則
また近くの月蔵寺(衛星写真地図)の境内にも「大風水害惨死者供養塔」が1935(昭和10)年に建てられています。
(なお月蔵寺では檀家以外の方の参拝をお断りされているそうですのでご注意下さい)
2012.11.4 撮影:今駒清則
三宝小学校の南250m程の三宝保育園の横(衛星写真地図)にこの風水害の被害に遭われた方々を慰霊する「関西大風水害殉難者慰霊碑」が建てられています。またその後には防潮堤などを整備した記念の碑もあります。堺市の管理のようですが入口の扉が施錠されているため、お参りしようにもこの一角へは立ち入れないのが残念です。(続く)
シリーズ
繰返された学童の悲劇 (1) 石巻市立大川小学校
繰返された学童の悲劇 (2) 堺市立三宝小学校
繰返された学童の悲劇 (3) 慰霊の碑
繰返された学童の悲劇 (4) 低地の学校
繰返された学童の悲劇 (5) 水難の地
繰返された学童の悲劇 (6) 教育塔
繰返された学童の悲劇 (7) 擁護璽
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