最近のレンズ
珍しくカメラの話です。
某社のレンズ一体型高倍率ズームデジタルカメラの最望遠で撮影した写真画像です。ワンショットでRAWとJPEGを同時に記録するモードで撮影したもので、左はJPEG画像、右はRAW画像をAdobe Photoshop CS5で現像しています。垂直であるはずの高層ビルが右のRAW画像では湾曲して歪んでいます。望遠レンズにありがちな糸巻状のディストーション(歪曲)ですが、ここまで歪んで写るレンズはめったにありません。
しかし同時に記録されたJPEG画像には歪みが見られません。これはレンズ設計では右の写真のような性能なのですが、JPEG画像を記録するまでに、カメラ内でデジタル画像処理して歪みを補正しているからです(実際は歪みだけでなく色の補正など色々処理しています)。従って歪みを直した分だけJPEG画像の方が少し拡大されています。
なおこのカメラ専用のRAW現像ソフトウエアで現像をすると、何もしなくても歪みは直されてきます。つまり専用なので、カメラ内で行われている画像処理をRAW現像ソフトでするような仕様になっているのです。
勿論歪んでいるRAW画像をAdobe Photoshopの現像段階(Camera Raw)や「フィルター/レンズ補正」で補正することができますので、補正しないでお見せするのは少々意地悪なのですが、このレンズの素を見ていただくためにストレートに現像しています。
ここまで極端な例は少ないと思いますが、最近ではどのようなデジタルカメラでもユーザーに喜ばれるような画像処理をカメラ内でしてJPEG画像にしています。肌色が美しくなる、小顔になる、フイルム色調になる、ノイズが少ない、高感度で撮影できる、白トビを押さえるなどと言うのはよくある例ですが、レンズに対してもこの例のようにさまざまな補正をデジタル補正するようになりました。高性能なレンズ設計や製造は、高度な技術とコストが必要なのですが、デジタル補正を利用することでかなり安易、安価に作られたレンズでも実用的に高性能化できます。
ユーザーからすればデジタル補正をすることで、高性能で安価なレンズが入手できるのなら大歓迎なのですが、反面これでレンズ設計の技術力が低下してしまわないかと心配でもあります。
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