工事騒音による緊急放送の妨害
Thundercloud approaching. Photo : KOMMA Kiyonori
午後になって金剛山方面の雲が厚くなり黒くなってきました。徐々にこちらに近づいてきて、猛烈な雨と落雷。空はたて続けに光るものの稲妻の姿も見えない程の吹き降りです。
The rock-cut three (breaker) emits a large noise. Photo : KOMMA Kiyonori
この時大阪府には大雨・洪水、落雷、竜巻の警報・注意報が出されていて、自治体が設置した屋外スピーカーによる防災情報が流されていたのですが、近くの工事現場の騒音にかき消されてそれがまったく聞こえませんでした。この屋外スピーカーの緊急放送では、避難準備情報、避難勧告、避難指示、津波警報、大雨洪水警報など重大な災害の情報を知らせてくれるものです。工事騒音の源はこの4月に暴風で足場が倒壊して(本サイトの2012年4月3日「春の暴風 工事足場が倒れる」記事参照)危険な状況を引き起こした新日鉄都市開発ビルの東急建設による解体工事現場からで、主に削岩機(ブレーカー)でコンクリート基礎を破砕する爆音です。こういう時でも工事騒音の規制内レベルだから、また放送に対する規制は無いのでと工事を継続している業者の姿勢には疑問を持たざるを得ません。こういった住民にとって生存に関わる切実な情報が工事騒音で遮断されたために、不測の事故が起きたときの責任はどうなるのでしょうか。
Work while alerting. Photo : KOMMA Kiyonori
さらに驚くことにこの工事現場では、警報発令中のもの凄い豪雨と連続する落雷の中でも写真のように作業員がカッパを着て仕事を続けていました。その周囲には大型重機の背の高いクローラクレーンやパワーショベルなどが沢山あり、落雷を誘引するものばかりです。最近に近くの長居公園では落雷で死傷者が出ていますが(本サイトの2012年8月18日「大阪・長居公園 落雷事故時の落雷」記事参照)、雷はどこにでも落ちますし、まったく予測ができないものですから警報が出れば避難をするしかないのですが、ここの労務・安全管理はどうなっているのでしょうか。
調べて見ると国土交通省の工事に適用される「土木工事安全施工技術指針」(pdf)には「第7節 異常気象時の対策」として以下のようになっていました。
1.緊急連絡体制の確立。第1章4節に準ずること。
2.気象情報の収集と対応、
(1) 事務所にテレビ,ラジオ等を常備し,常に気象情報の入手に努めること。
(2) 事務所,現場詰所及び作業場所間の連絡伝達のための設備を必要に応じ設置すること。(以下略)
3.作業の中止,警戒及び各種点検
(1) 気象の状況に応じて作業を中止すること。(以下略)
第2章 安全措置一般。(2) 天気予報等であらかじめ異常気象が予想される場合は,作業中止を含めて作業予定を検討しておくこと。(以下略)
7.雷に対する措置
(1) 警報器,ラジオ等により雷雲の発生や接近の情報を入手した時は,その状況に応じて拡声機,サイレン等により現場作業員に伝達すること。(以下略)
この業者の規定については知りませんが、仮に上記の指針に準拠するとすれば、雷や大雨警報などの情報を速やかに的確に知り、現場作業員に速やかに伝え避難させる、という常識的な危機管理ができていないといけない訳です。さらにこの場合作業員のみならず、近隣住民のためにも速やかに工事を中断して騒音を止め緊急放送が伝わるようにしなければなりません。またこういった工事騒音による緊急放送の妨害を防ぐ法制化が必要でもあります。
なおこの時の大雨・洪水警報は15時47分に解除されましたが、小学校では警報の発令とともに児童の下校を止め、解除を待って職員付添のもとに下校させていました。
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