入江泰吉旧居 開館記念式典
"IRIE Taikichi's house" Opening commemorative ceremony, Todai-ji Temple Kinsho hall.
Photo : KOMMA Kiyonori
2015年2月28日
入江泰吉先生の没後、お宅が奈良市に寄付されて永らくそのままになっていましたが、このたび保存工事が完了し、3月1日から一般公開されることとなって奈良市により記念式典が催されました。
公開に当たって尽力された仲川げん奈良市長、弟子で活用ワーキンググループの牧野貞之さん、先生と親交のあった歌手ペギー葉山さん、東大寺管長の筒井寛昭さんらの挨拶のあと、俳優真野響子さんと倉橋みどりさんのトーク。アマチュア写真家であった真野さんの父が写真展の案内を入江先生に差し上げたところ、丁寧な手紙を頂いたとのエピソードを披露。亀井勝一郎先生の「大和古寺風物詩」(写真:入江泰吉)を手に大和路巡礼をした様子をお話されました。
なお真野さんのお話の中で、入江先生が撮影中に障害になった人に「あっちに行け」と言った、普段は温和だが仕事になると厳しくなる、というような主旨のお話をされましたが、これはまったく有りえないことで、多分 Wikipedia の「入江泰吉」の項にある話を受けてのことではないかと思います。その Wikipedia では以下のようになっています。
「1951年ごろ、当時産経新聞京都支局の記者だった司馬遼太郎がお水取りの取材に来ていたとき、アマチュアカメラマンたちが連行衆に向かって一斉にフラッシュを焚いた。すると小型カメラを構えていた白髪痩身の男が急に振り向いて「あっちに行けっ!」と低く叫んだ。アマチュアカメラマンたちは、その気迫に圧されてカメラをおろしてしまった。それが、司馬の入江との初対面だった。後に入江と親しくなった司馬は、その穏やかで恥ずかしがりな人柄と、あの夜の厳しい叱咤がどうにも結びつかなかったという。」
これは司馬遼太郎さんが書いたものを参考にしたようですが、どうもその司馬さんは何か勘違いをされておられるのではないかと思います。まず入江先生がそのような場であっても"決して"そのような言葉を言う人柄ではないこと、これは長年接してきた私も思いますし、近い親戚の方、また身近であった方の全てが「そのようなことはありえない」と口を揃えて言われます。
さらに「白髪痩身の男」について、その1951年頃の入江先生は当時46歳、痩身ではありましたが「白髪」ではなかったと思います。私は1960年に初めて入江先生にお目にかかりましたが、その時でもさほど白髪ではありませんでした。
どこでこういう話になってしまったのかは司馬さんも入江先生も他界されているので確かめる術は無いのですが、司馬さんは誰かと人間違いをされたのか、または創作・誇張をされたのではないかと思っています。
(追記:引用した Wikipedia の記事中には「連行衆」とありますが、正しくは「練行衆」です。)
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